このマニュアルについて
このマニュアルでは、ACTION GAME MAKER で作ったゲームを iOS(iPhone / iPad)向けに書き出し、シミュレータや実機で動かすまでの手順を解説します。あわせて、書き出しに必要な準備(Mac・Xcode・Apple のアカウント)、書き出しの設定項目、iPhone で遊ぶときに気をつけたい画面の広さ・切り欠き・タッチ操作を扱います。
iOS 書き出しの流れ
iOS のアプリは、Apple の開発ツール Xcode でビルドして署名したものしか端末に入れられません。そのため、ACTION GAME MAKER の iOS 書き出しは次の流れになります。
| 段階 | 行うこと | 使うもの |
|---|---|---|
| 1 | ゲームを Xcode のプロジェクトとして書き出します | ACTION GAME MAKER |
| 2 | Xcode のプロジェクトを開き、署名の設定をします | Xcode(Mac) |
| 3 | シミュレータか、つないだ iPhone / iPad で実行します | Xcode(Mac) |
段階 2・3 には Mac が必要です。 Mac 版の ACTION GAME MAKER で書き出すと、段階 1 と同時に配布用のファイル(.ipa)まで作ることもできます(後述)。
準備するもの
| もの | 内容 |
|---|---|
| Mac | Xcode を動かすために必要です |
| Xcode | Mac の App Store から入れます。初めて起動したときに、追加の部品(iOS のプラットフォーム)を入れるよう求められたら入れてください |
| Apple のアカウント | 実機で動かすときに必要です(シミュレータだけなら不要) |
| iPhone / iPad | 実機で確かめるとき。iOS 15.0 以降 |
Apple のアカウントとチーム ID
実機に入れるアプリには、チーム(開発者のアカウント)の署名が必要です。
- Apple Developer Program(有料)に登録すると、App Store での配布や、TestFlight でのテスト配布ができます。
- 登録していなくても、Apple ID で Xcode にサインインすると、個人用のチーム(Personal Team)で自分の端末に入れて試せます。 この場合、入れたアプリは一定期間で起動できなくなり、入れ直しが必要です。
書き出しには、このチームの「チーム ID」(英数字 10 文字)が必要です。Apple Developer のサイトの「メンバーシップの詳細」や、Xcode のプロジェクトの「Signing & Capabilities」で確かめられます。
書き出しの設定を作る
- Makerモードのメニュー「プロジェクト」→「書き出し」を開きます。
- 「追加…」から「iOS」を選びます。iOS の設定(プリセット)が一覧に加わります。
- 右側の設定で、次の項目を入力します。
必ず入力する項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ →「App StoreチームID」 | 上で確かめたチーム ID。空欄だと書き出せません |
| アプリ →「Bundle Identifier」 | アプリを見分けるための名前。com.(あなたの名前や会社名).(ゲーム名) のような、ほかのアプリと重ならない文字列にします。使える文字は英数字・-・. です |
入力が足りないときや、使えない文字が入っているときは、書き出し画面の下に赤字で理由が出ます。
テクスチャ圧縮の設定
iOS 向けの書き出しには、プロジェクト設定の「ETC2 ASTC をインポート」がオンになっている必要があります。オフのときは、書き出し画面に「ターゲットプラットフォームは、‘ETC2/ASTC’ テクスチャ圧縮が必要です。」と出ます。
- メッセージの横の「プロジェクト設定を表示」を押します。
- 開いたプロジェクト設定で「ETC2 ASTC をインポート」をオンにします。
- 画像の再インポートが終わったら、もう一度「書き出し」を開きます。
画像の多いプロジェクトでは、再インポートにしばらく時間がかかります。
そのほかの主な項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ →「Targeted Device Family」 | 対象の端末。iPhone / iPad / iPhone & iPad(既定) |
| アプリ →「Min iOS Version」 | 動かせる最低の iOS のバージョン。既定は 15.0 です。これより低くはできません |
| アプリ →「Short Version」/「バージョン」 | アプリのバージョン。空欄ならプロジェクトのバージョンを使います |
| アプリ →「Export Project Only」 | オンにすると、Xcode のプロジェクトだけを書き出します(後述) |
| アイコン | ホーム画面のアイコンなど。指定しなければプロジェクトのアイコンを使います |
| Storyboard | 起動時に一瞬出る画面(ローンチスクリーン)の画像と背景色 |
書き出す
- 一覧で iOS の設定を選び、「プロジェクトのエクスポート…」を押します。
- 書き出し先のフォルダとファイル名を決めます(「Export Project Only」がオフなら
ゲーム名.ipa、オンならゲーム名.xcodeproj)。空のフォルダを用意しておくと、できたファイルが分かりやすくなります。 - テストのときは「デバッグ付きエクスポート」をオンのままにします。配布用に書き出すときはオフにします。
- 保存すると書き出しが始まります。
書き出し先には、ゲーム名の Xcode のプロジェクト(ゲーム名.xcodeproj) と、その素材のフォルダが作られます。
Mac で書き出したとき(.ipa も作る)
「Export Project Only」がオフのとき、Mac 版では書き出しの続きで Xcode を自動で動かし、配布用のファイル(.ipa)まで作ります。 このときは署名が必要なので、Xcode に Apple のアカウントでサインインしておく必要があります。
署名の準備ができていないと、.ipa を作る段階で「Failed to run xcodebuild with code(番号)」や「Xcode project build failed」と出て止まります。まずは「Export Project Only」をオンにして Xcode のプロジェクトだけを書き出し、次の節の手順で Xcode から動かすのが確実です。
Windows で書き出したとき
Windows 版では .ipa は作れません。書き出しは Xcode のプロジェクトを作ったところで終わり、「.ipa can only be built on macOS.」という注意が出ます。書き出し先のフォルダを丸ごと Mac へコピーし、次の節の手順で Xcode から動かしてください。
Xcode で動かす
- 書き出し先の
ゲーム名.xcodeprojをダブルクリックして、Xcode で開きます。 - 左の一覧でいちばん上のプロジェクトを選び、「Signing & Capabilities」タブを開きます。
- 「Team」で自分のチームを選びます。「Automatically manage signing」がオンなら、署名に必要なものは Xcode が用意します。
- 画面上部の実行先で、シミュレータ(iPhone の機種名)か、USB でつないだ iPhone / iPad を選びます。
- 「
」(Run)を押すと、ビルドされてゲームが起動します。
実機で初めて動かすときは、iPhone / iPad 側で次の操作が必要なことがあります。
- 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「デベロッパモード」をオンにする(再起動が求められます)
- 「設定」→「一般」→「VPN とデバイス管理」で、自分の開発者アカウントを「信頼」する
シミュレータについて
シミュレータでは Mac の上で iPhone の画面を再現して動かします。手元に端末が無くても、画面の見え方や仮想パッドの配置を確かめられます。
ただし、シミュレータでは描画を簡易な方式で行うため、実機より動きが重くなります。 オブジェクトの多い場面の速さは、実機で確かめてください。
iPhone で遊べるようにする
タッチ操作(仮想パッド)
ACTION GAME MAKER のゲームは、キーボードやゲームパッドで操作する作りです。そのまま iOS に書き出しても、タッチでは操作できません(マウス操作の条件だけは、1 本指のタッチで反応します)。
画面上にボタンとスティックを出すには「仮想パッド」を使います。今あるビジュアルスクリプトの入力条件を変えずに、タッチで遊べるようになります。作り方は「マニュアル: 仮想パッド(バーチャルゲームパッド)でタッチ操作に対応する」を参照してください。
iPhone をゲームパッドとつないで遊ぶ場合は、仮想パッドが無くても操作できます。
画面の広さ
iPhone の画面は PC のウィンドウより解像度が高く、プロジェクト設定の「ストレッチ」が無効(既定)のままだと、文字が小さく、ステージが広く映ります。 端末の画面に合わせて拡大したいときは、プロジェクト設定の「ディスプレイ」→「ウィンドウ」→「ストレッチ」で「モード」を canvas_items、「アスペクト」を expand などにします。
ステージが広く映ると、遠景などの背景が画面の端まで届かず、端に背景色が見えることがあります。そのときは、背景の繰り返しの回数を増やしてください。
切り欠き(ノッチ・ダイナミックアイランド)
ゲーム画面は、ノッチやダイナミックアイランドの下まで広がって描かれます。横向きの iPhone では、画面の左右の端と下の端が、切り欠きやホームインジケーターで隠れることがあります。
- スコアなどの HUD は、画面の左右の端にぴったり付けずに、内側へ寄せて置いてください。
- 仮想パッドは、隠れる部分を避けて自動で内側に置かれます。
注意点
- iOS のアプリを動かすには、Mac と Xcode が必要です。 Windows 版で書き出した場合も、最後は Mac の Xcode でビルドします。
- 「App StoreチームID」と「Bundle Identifier」が空欄だと書き出せません。
- 「ETC2 ASTC をインポート」をオンにしないと書き出せません。 オンにすると画像の再インポートが走ります。
- Personal Team(無料の Apple ID)で入れたアプリは、一定期間で起動できなくなります。続けて試すときは、Xcode からもう一度入れてください。
- App Store で配布するには、Apple Developer Program への登録と、Apple の審査が必要です。
- 同じ「Bundle Identifier」のアプリは、端末の上で同じアプリとして上書きされます。別のゲームを試すときは、Bundle Identifier を変えてください。